トピックス

わかちあいのひととき「第3回 ~その寝不足には、睡眠薬を使ってはいけないかも?~」

  • ブログ

 外来をしておりますと、睡眠について何らかの問題を抱えていらっしゃる方が多いことに驚かされます。もともと人は加齢とともに睡眠が浅く・短くなりますし、スマートフォンやパソコンが片時も手放せない現代社会において脳はいつも緊張を強いられますから、自然の睡眠のリズムが乱れて睡眠障害になりやすい状態であることは、想像に難くありません。

 一方で、睡眠に対する薬物治療も進歩しており、患者さんの症状に応じて様々な睡眠薬を使い分けることで、心地よい睡眠をサポートすることができます。また、最近は市販薬もあり、利用されている方もいらっしゃると思います。ただ、呼吸器科医の立場からすると、ちょっと気になることがあります。それは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)です。SASは、眠っているときに呼吸が止まってしまう病気で、なかでも仰向け姿勢で気道が狭くなってしまう閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)がほとんどです。肥満者・あごが小さい人・閉経後の女性によく見られますが、アルコール摂取も一因となります。息苦しさのために睡眠不足となり、居眠りによる交通事故のリスクが高くなります。また、高血圧や糖尿病を悪化させることがわかってきました。OSASの方が睡眠導入剤を不用意に使うと症状を悪化させますから、注意が必要です。

 いびきや寝汗をかく方・日中の眠気が強い方には、問診の上、小型の測定機械をご自宅で装着して夜間の呼吸状態を調べるアプノモニターという検査を受けられることをお勧めします。診断されれば、適切な治療法が受けられますので、気になる方はぜひ医療機関を受診していただきたいと思います。

 OSASは自分では気が付きにくい病気です。同居しているご家族から、いびきがうるさいとか、寝ているときに息が止まっている、と指摘されて見つかることが多いのです。こんなことからも、人間は決して一人で生きているのではないのだと、当たり前のことを思い出します。

診療予約について

ページトップへ戻る