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わかちあいのひととき「第1回『寿命』」

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こんにちは。なかむらクリニックの岡部浩典です。ミニコラムを始めることになりました。題して「わかちあいのひととき」。これから不定期ですが、小生が日々の生活の中で感じたことを、皆様とわかちあいができればと思います。どうぞ気楽にお付き合いください。

第1回ですから、私達の最大の関心事である「寿命」を取り上げましょう。秦の始皇帝の時代から、人間は不老不死を求めてきました。残念ながら現在科学の知見では、ヒトが永遠に生きることは不可能とされているようです。その中で、小生の専門分野である呼吸器科的な説明をいたします。

私達が生きるためには、言うまでもなく酸素が必要ですが、活性酸素による酸素中毒という言葉があるように、高濃度の酸素は人体に害を及ぼします。大気中の酸素濃度は21%ですね。もし100%の純酸素を吸うと、半日で肺がやられてしまいます。40%の酸素で4日間くらい。したがって、酸素中毒を避けるためにはできるだけ薄い酸素を吸う方がいいわけです。一方、酸素濃度が18%を下回ると、今度は酸欠になってしまいます。生命の維持に必要な最低レベルの酸素濃度が今の大気中の酸素濃度であるとは、なんという偶然でしょうか?

ちなみに空気(酸素濃度21%)を吸った場合、肺は120年持つとされています。ということで、呼吸器的には人間の寿命は120年ということになります。でも、現在の日本人の平均寿命は約80歳。あと40年は伸びしろがあるわけで、ここに私達の頑張りがいがありますね。

生存に不可欠な酸素が、同時に私達の寿命を規定しているということに、私は自然の摂理を感じ、深い感慨を覚えるのです。

 

参考文献:呼吸のトリビア2 中外医薬社

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